ギャンブル依存症とは

ギャンブル依存症について

・定義
一般的に「パチンコや公営競技のような賭け事にのめりこむことにより日常生活又は社会生活に支障が生じ、治療を必要とする状態」を指します。

・症状
「賭けることを楽しむ」という当初の健全な動機が別の動機にすり替わることが発症の引き金です。すり替わる動機には次の要素があります。

@負けを取り戻す(負け追い)

Aより強い興奮を味わう

Bイライラ・ゆううつ感を解消する

C賭けていると落ち着く

などがあります。これらの動機には「楽しくなくなった(飽きた)から止める」という歯止めが効きません。それゆえ遅かれ早かれ、

Dギャンブルに関することが頭から離れない

E上手に加減できない

というとらわれの状態に陥ります。その結果、

Fギャンブル関連の嘘

G大切な人間関係の危機

Hギャンブルを原因とした借金

が生じます。


・診断
DSM5(精神障害診断基準集:米国精神医学会作成)では上記の@〜Hのうち四つ以上が満たされた場合に「ギャンブル障害」と診断します。このうち@「負け追い」は重要な鑑別症状です。

・自然経過
専門的な治療なしでも過半数は回復すると考えられています。

・原因
性格/気質、社会的ストレス、家族葛藤などの心理的要因、知的1発達障害、更にうつ病等の併存精神障害が複雑に絡み合っています。「ギャンブルをやめれば解決する」という単純な因果論では捉えきれません。

・対処法
ギャンブル動機を手掛かりにして個別のニーズ(欲望)を探します。それは「ギャンブルに何を求めています(いました)か?」という自問です。自分のニーズがわかれば、それを満たす代替行動に取り組みます。もしギャンブルを継続したいのであればそのニーズに絞り込んだギャンブル戦略に修正します。但し併存障害を有する方はその治療を優先します。

・Q&A
Q:有効な治療法はありますか?
A:ギャンブルに替わる充足方法(趣味活動や日常生活等)を色々と試みる「欲望充足法」をお勧めします。またギャンブルの収支決算を記録したり、「迷惑をかけたこと」をリスト化することで、歯止めをかけることも有効です。

Q:ギャンブル依存症は病気なの?
A:精神障害(disorder)ではありますが、精神疾患(diSease)とは断定できません。
「原因としての脳病変」が確認できていないからです。現在は脳画像研究などに基づく推定段階です。

Q:どんな人が破滅的な結果になりやすいの?
A:どちらかといえは「我慢強い人」「甘え下手な人」です。借金等の問題を隠したまま、真面目に一人で解決しようとして、硫威的な結果に至る傾向があります。この傾向は幼少期における両親等の飲酒問題やギャンブル問題の存在と関連しています。

Q:ギャンブル依存症は進行するの?
A:一部の方は徐々に頻度や掛け金が増えてゆきます。しかしアルコール依存や薬物依存と違い、半数以上の方は止めるか、元の小遣い範囲のギャンブルに戻ります。このようにギャンブル依存症は自然回復率の高い障害と考えられています。

Q:電話相談でも有効なの?
A:有効です。電話で自分の問題を確認し整理するだけでも、安心感が得られます。その結果、代替手段などの対処法が浮かんでくることがあります。

Q:家族支援のみでも有効な解決手段になりますか?
A:充分になります。家族の態度の変化が本人の変化を導きます。その際「なぜ自分はこの人と一緒に居たいのか?」という自問を通じて、家族が自身の欲求に気づくことが重要です。
このとき「ギャンブルを止めさせる」という目的のみでの関与は有害です。



ギャンブル依存症について(リーフレット)